学校薬剤師 環境衛生検査実施要項【検査目的と事後措置】
検査項目 | 検査目的・備考 | 検査結果を受けての事後措置 | その他 |
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温度 | 児童生徒の快適性のため、より良好な温熱環境と空気清浄度を保つ維持管理が望まれるため | ・窓側の温度が高いときの対応として、カーテンの使用やひさしの設置、ツル植物による壁面緑化がある。ただし、照度の低下に注意する。 ・冷房や暖房を使用する際には、温度のみで判断せずその他の環境条件および児童生徒の健康状態を観察したうえで、衣服による温度調節を含め、適切な措置を講じる |
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湿度 | 児童生徒の快適性のため、より良好な温熱環境と空気清浄度を保つ維持管理が望まれるため | ・相対湿度が30%未満の時は適切な措置を講じる必要があるが、加湿器を利用する際には結露やカビの発生しやすくなることから過度な過失に注意する。 ・加湿器のフィルターにもカビや細菌が発生しやすいことから加湿器には水道水を使用し定期的に清掃するなどメンテナンスを適切に行う。 ・加熱しない超音波式加湿器を使用する際には、レジオネラ菌が増殖し空気中に飛散するリスクがあるため水をためたままにしないよう死曜日ごとに取り換え、絶えずタンクの内部を洗浄し清潔に保つよう努める。 |
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CO₂ | 児童生徒の快適性のため、より良好な温熱環境と空気清浄度を保つ維持管理が望まれるため | ・1500ppmを超えた時は換気を行うようにする。 ・機械による換気が行われていない教室などにおいては、窓や欄間、入口の戸などの開け方を工夫し自然換気が行えるようにする。 |
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気流 | 児童生徒の快適性のため、より良好な温熱環境と空気清浄度を保つ維持管理が望まれるため | ・0.5m/秒超の気流が生じている場合には、気温、湿度又は流量を調節する設備の吹き出し口等の適当な調節を行うようにする。 | |
CO | 児童生徒の快適性のため、より良好な温熱環境と空気清浄度を保つ維持管理が望まれるため。 教室等で燃焼器具を使用していない場合に限り、省略可 |
・6ppmを超えた場合はその原因を究明し適切な措置を講ずること。発生源として考えられるのは主に室内における燃焼器具の使用である。 ・学校内に自然排気式(CF式)ボイラーが設置されている場合には、換気扇との同時使用を避け、適切な換気がおこわわれるような措置を講ずる。また、屋外式のボイラーへの交換を促進する。 |
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NO₂ | 児童生徒の快適性のため、より良好な温熱環境と空気清浄度を保つ維持管理が望まれるため。 教室等で燃焼器具を使用していない場合に限り、省略可 |
・基準値を超えた場合は、その発生の原因を究明し、換気を励行するとともに、汚染物質の発生を低くする等適切な措置を講じる。 ・外気の二酸化窒素も検出されるので、外気濃度にも注意を払う必要がある。なお、NO2は吸着性のガスなので外気より教室内のほうが値は小さくなる。 ・室内のほうが高い場合は、燃焼器具の影響を考慮する必要があるので、I/O比(室内濃度/外気濃度)を求めて判定する。 ・周辺の交通量が多い学校では、外気濃度の測定に努め、外気の濃度が高い場合には自治体の環境部局等に相談する。 |
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揮発性有機化合物 | 児童生徒の快適性のため、より良好な温熱環境と空気清浄度を保つ維持管理が望まれるため。 結果が著しく基準値を下回る場合は、以後の環境に変化がない場合に限り次回からの検査を省略可 |
基準値を超えた場合は、その発生の原因を解明し、換気を励行する。同時に汚染物質のの発生を低くする等適切な措置を講ずる。学校周辺に検査対象となる化学物質を扱う工場がある等がある場合に外気検査を行う。外気濃度がが高い場合は自治体の関係部署に相談する事。 | |
ダニ・アレルゲン | 児童生徒の快適性のため、より良好な温熱環境と空気清浄度を保つ維持管理が望まれるため | 基準値を超える場合は定期的なメンテナスを行った電気掃除機で日常的に掃除を丁寧に行うこと。また、長期休暇中にダニ用燻煙剤を実施することも検討する。寝具は定期的に乾燥する事。また、布団カバーやシーツを掛け適切に交換する事。のり付けすることで布団の中からのダニを防ぐことができる。 | |
照度 | 学校での照明は視対象物を見やすくすることを補助し、視力への悪影響を防止し、学習能率の向上を図るうえで大変重要であるため。 | 暗くなった光源や切れている光源は、蛍光灯等の劣化やその他の要因によるものか確認し、光源の清掃や交換・修理を行っても照度が不足する場合は増灯を検討する事。また、天井の梁の位置によって照明がさえぎられていないかも確認し机の位置等の配慮も必要。また、晴天の日に教室内の最大照度と最小照度の比が20:1を超える場合も、カーテン等で遮るかあるいは窓の外に日覆を検討する。 | |
まぶしさ(グレア) | 学校での照明は視対象物を見やすくすることを補助し、視力への悪影響を防止し、学習能率の向上を図るうえで大変重要であるため。 | ・まぶしさを起こす光源を覆うか、視野に入らないような措置を講じることとする。教壇の教員から児童生徒等の方を見た時も同様に考える。 ・直接日光が入る窓は適切な方法で防ぐようにする。薄手のカーテンでは直射日光が当たるとまぶしさの原因になることがあるので、厚手のカーテンやブラインドで遮る。 ・まぶしさを起こす光沢は、その面をつや消しするか、光沢の原因となる高原や窓を覆う。蛍光管などの照明器具もグレアの原因になるので適切な位置につけることが重要である。 ・電子黒板やタブレット端末を利用する場合は。窓からの映り込み防止対策として、通常のカーテンだけではなく、厚手のカーテンや遮光カーテンのように太陽光を通しづらいものの使用を考える。 |
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騒音 | 騒音による学習能率の低下を防ぎ、また心理的な不快感を来すことを防止するため。 測定結果が基準値を著しく下回る場合で以後の環境変化がない場合に限り、次回から検査を省略可 |
・校内の騒音に対しては授業の時間割、教室の配置を配慮するなどして影響を少なくする。具体的には音を出す教室は互いになり合わせにする。音を多く出す特殊教室は午後の授業の少ない教室近くに配置するなど検討する。廊下や階段の足音については履物の種類の制限、机やいすの防音対策も有効。 ・近接した道路や工場の騒音、鉄道や飛行機の騒音の場合は自治体の環境部局に相談する必要がある。 ・敷地外からの騒音に対する防音設備として塀があるが、必要な条件はすき間が多くないこと。塀は高いほどよい。 |
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飲料水 | 水道水が汚染されると、感染症のみならず様々な疫病をもたらす危険な媒体になるため。 | ◎原水が井戸その他の供給源で汚染を受ける恐れがある場合 ・井戸などその周辺にみだりに人畜が入らないように防護柵を設けたり、清潔に努める。 ・原水が人の健康を害する恐れがある場合はただちに給水を停止し、教職員及び児童にその旨を周知するとともに保健所などへ連絡し指示を受ける。 ◎施設・設備の構造が汚染を受ける場合 ・受水槽が地下式であるなど、施設・設備の構造が汚染を受ける恐れのある場合は、速やかに補修又は回収するなどの適切な措置を講じる。 ・外部から給水タンク又は貯水タンクの天井、底又は周壁の保守点検を容易かつ安全に行う事ができるようにもうけること。となっている。 ・地下式のものは外側から点検することができないため、汚染の原因となる亀裂が発生しても発見が困難であり、早急に床沖型に改善する必要がある。 ◎それらの汚染防止策を講じた後、必要に応じ給水施設・設備の清掃及び消毒を次の要領で実施する。 ・受水槽、高置水槽の汚染水を排出し、内部を清掃する。 ・槽内を有効塩素50~100㎎/Lの次亜塩素酸ナトリウム液で消毒。 ・全給水栓を回旋枝し、末端給水栓で遊離残留塩素に注意しながら、給水管を洗浄する。 ・その後、給水栓での遊離残留塩素を確認しながら、平常時の給水に戻す。 ◎施設・設備を構成する材料や塗料が不良あるいは老朽化している場合 材料・塗料の種類によって、それらが飲料水に溶出したり、腐食することによって赤水などの原因になるので、速やかに十分な強度と耐酸性を有するものに改造する。 ◎施設・設備に故障、破損、老朽及び漏水がある場合 小さな水漏れ、亀裂などから大事故につながる恐れもあるので、ただちに改善の策を講じる。 |
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大掃除の実施 | 清潔ときれいな環境は児童生徒の健康の向上やメンタルヘルスの安定に寄与するため。 | 大掃除を定期的に実施していない場合は、学校保健に位置付けるなど、計画的に行うこと。 | 学校の清掃区域と清掃箇所と清掃用具はこちらを参照 |